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安い料金で海コンドレーを探すべきでない理由 [コラム]

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『海コンドレー料金の交渉方法』からの続きです。
それでも安い料金で走っているドレー会社ありますよね。

でも、それ気を付けて下さい。
今後「その料金ではドレー受けれません。」と音を上げる可能性が非常に高いです。

安いドレー料金で業者を必死で探し、結局「やっぱりウチでは無理」と突然言われ、ドレーの確保ができなくなった上に、料金値上げのお願いを行いに荷主の元に頭を下げに行くのか。

最初もしくは早い内から、荷主に海コンドレーの相場料金や現状を説明し相場料金を出してもらうのか。

管理人はもちろん後者を選択するべきだと思います。

そう述べたる理由を、海コンドレー業界の現状を軸に説明します。


海コンドレー料金の交渉方法→http://osakakaikon.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20



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理由は『燃料高騰』と『業界の現状』
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今まで安い料金で配達できていたので、どこか配達できる所があるだろうと思うのは至極当然ですが"今まで""これから"は違います。

安い料金で声をかけても、今やYESと返事する業者は今やめったに現れ無いと思います。
これは意地悪や「もっと料金吊り上げてやろう」等の理由でなく、本当にその料金では走れない為です。

燃料価格の高騰も一つの理由としてありますが、それよりも大きな理由として海コンドレー業界の現状(ドライバー不足)があります。

現状のみを書いても、深い理解は得れないと思うので、


①仕事の性質(仕事量の限界が極めて低い)
②黒歴史(ドレー料金値下げ合戦)
③現状(海コンドライバー不足)


の、3点に掘り下げて説明します。



①仕事の性質(仕事量の限界が極めて低い)
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どの様な仕事にも限度というものが存在しますが、海コンは特に限界が低いです。

まず、仕事のキャパシティがトレーラー1台でコンテナ1本なので、同じ方面の配達だからと言って2本コンテナを引っ張ったり、1本のコンテナに相積みしたりできません。
ターミナルへのコンテナピックや返却も同じです。

また、コンテナは輸入コンテナの場合デバン作業が完了すると、必ず空コンテナをターミナルに返却しに行かなければなりません。
輸出コンテナの場合も同じく、行きはターミナルからピックした空コンテナで、帰りが輸出貨物入りコンテナとなります。
輸入・輸出共に往復の内片道は空荷となる上、ターミナルという拠点を中心にしか動けないのです。
※輸入コンテナを輸出コンテナとして転用使用する"ラウンドユース"についてはここでは除外します。

そして、そのコンテナをピック・返却する拠点であるターミナルの稼働時間が、平日の8:30~16:30(土曜日は ~11:30のみ)と限られており、その時間内でしかコンテナを出し入れすることができません。

同じ運送業でも宅配業であれば、集荷配センターのシステム化やオートメーション化、配送ルートの見直し等で効率化することが可能です。
配送トラックや雑貨トレーラーの場合、荷下ろし作業完了後空車になると近くの集荷先で荷物を積み込み、更にそこから配達へ向かう事が可能です。

しかし、海コンドレーはそういった効率化や融通が利かず、性質上可能な仕事量の限界が極めて低くなっています。 そして、その限界点は今も昔も大して変わっていないのです。



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②黒歴史(ドレー料金値下げ合戦)
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話は少し遡りますが、経費が合わず走れない様なドレー料金の仕事が生まれた経緯です。

一昔前に規制緩和が実施され、それまで新規参入ができなかった海コンドレー業界に新規参入が可能になり、大量の新規会社が参入しました。

この規制緩和によりドレー料金を資本主義的に精査するのが国の狙いですが、飽和した海コンドレー業界では精査を通り越し必要以上の値下げ合戦を余儀無くされました。

「他の会社が、おたくさんより安いこの金額で走ると仰っているのですが。」
と、乙仲から驚く程安い金額を提示されても、
「配車組みで調整すれば、この料金でも何とかできるだろう。」
NOと言えば、他の仕事も失いかねず、経費的に厳しくても受けざるを得ません。
この時期に安いドレー料金は生まれました。

そして、業界全体のドレー料金低下に伴い、上手く経営の舵取りできなかった会社は、既存・新規関わらず廃業に追いやられ海コンドレー業界も精査されてゆきました。

ここまでは資本主義の原理として問題はないのですが、問題はその先の③現状(海コンドライバー不足)に続きます。



③現状(海コンドライバー不足)
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問題点は『この値下げ合戦頃からドライバー不足が進んでいる』という点です。

海コンドライバーという仕事ですが、全長15メートル・重量30トン以上にもなる車両を扱うとても技術が必要な仕事です。
海コンドライバーでベテランになるには年数というより、海コンドライバーとしての素質があるかどうかというレベルだと言いわれています。

土砂を運ぶ大型10トンダンプでさえ全長9メートル・車両込みで20トン。積荷も外から目に見えます。
その大型ダンプより30%以上も巨大な車両を扱い、毎回重量位置も中身も分からない30トン近いコンテナを運ぶ仕事だと考えると、年数乗ればベテランになれる仕事では無いという事も納得できます。

規制緩和前は月給60~100万と言われた海コンドライバーの仕事ですが、現在その月収の最低にも達しないドライバーがほぼ100%かと思います。良くて普通のサラリーマン程度です。

そんな状況下で若いドライバーも増えず、ベテランのドライバーも海コンよりも他の運送業の方が給料が良いからと離れてゆく話が後を絶ちません。

現在、海コン業界は重度のドライバー不足に陥っているのです。



【結論】安いドレーを受けると、さらにドライバーが減る
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安いドレーを受けるとドライバーの給料が減る。

ドライバーの給料が減ると、ドライバーが増えなくなりベテランも業界を離れる。

そして現在ドライバー不足問題が臨界点に達している。

それでもまだ安いドレーを受けると、どうなる?

もちろん答えは、会社が倒れる。 です。

この「風が吹けば桶屋が儲かる」に似た負の連鎖を、上の①②③の経緯で学んだ海コンドレー業界。

遂に安いドレーを受けなくなった。いや、受けることも出来なくなったのです。

よって現在、安い料金でドレーを確保する事は不可能な時代となりつつあるのです。




以上が『安い料金で海コンドレーを探すべきでない理由』です。

輸送費は必要経費であると、社会全体が理解できれば良いのですが。

これでもまだ、安い料金で海コンドレーを探したり、あの手この手を使い走らせますか?

海コンドレー会社が次々倒れると、、、、。

次は、乙仲や荷主が手遅れになる前に学ぶ番だと思いますよ。



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